宮島訪問税とは
宮島訪問税とは、宮島の訪問者を対象に課税される税金です。
金額は100円となっており、フェリー運賃に上乗せする形で納付します。
廿日市市が、地方税法第5条第3項に基づく法定外普通税として、令和5年10月1日から徴収を始めます。
宮島訪問税が導入される目的
宮島訪問税は、多くの来訪者により発生・増幅する行政需要に活用することを目的としています。
なぜ宮島訪問税が導入されるのか
宮島はかつて佐伯郡宮島町という自治体でしたが、財政難により2005年に廿日市市と合併をしました。
廿日市市ではさまざまな取り組みを行ってきましたが、その後も宮島の運営は赤字となっています。
なぜ宮島の運営が赤字となってしまうのか。
宮島は、世界遺産の文化財があることや、島全体の95%以上が国有林であることなどから、開発が制限されており、新しい建物を建てたり、新たに観光施設を増やしたりということが難しい環境にあります。
また、宮島にはコンビニや生活必需品の揃うスーパーや、病院などがなく、住民にとっては不便なまちとなっています。さらに、文化財保護法により、住民は住居の建て替えや改装にも許可が必要となっています。
そのような現状から、住民も減少し、まちは過疎化に悩まされています。
新しい建物が建たず、住民も少ないとなると、自治体の税収は増えず、さまざまな行政サービスを行う財源が不足します。
観光客が多いので自治体は潤う?
一方で、宮島は毎年多くの観光客が訪れる観光地でもあります。
そのため、文化財保護のための歳出や観光客への行政サービスなどにより、多くの歳出があります。
宿泊施設も少なく、新たな宿泊施設を建設できない等の理由で、宿泊客を増やすことも難しく、宮島を訪問する観光客の一人当たりの観光消費額は全国の主要観光地の中でも最も少ないといわれています。
現在のままでは、観光客の増加で逆に財政赤字が増えてしまう構造にあります。
さまざまな話し合いの末に
宮島を運営する財源については、長らく廿日市市がさまざまな案を出し、検討を行っていました。
そんな中、ようやく導入が決まったのが宮島訪問税です。
宮島訪問税については、さまざまな意見があり、すべての人が賛成とはいかないみたいです。
住む人も訪れる人にもよい仕組みを作るのはなかなか難しいようですね。
ですが、宮島を愛し、これからも変わらず魅力ある宮島が運営されていくことを願っているのは共通なのかもしれません。
宮島訪問税への期待
宮島訪問税が導入されれば、多くの財源を確保することができ、宮島の自然や文化財の美しさを守りながら、より魅力ある観光地としてのサービスが行えるようになります。
現在は、オーバーツーリズムなど、世界各国で観光地運営の課題が残されています。
廿日市市の取り組みが持続可能な観光地運営のお手本になるといいですね。