熊野筆とは?歴史や魅力・人気の理由をわかりやすく解説

国の伝統的工芸品に指定されている「熊野筆」。実は、もともとは産業のなかった小さな盆地で生まれたのです。
今では世界中で愛される工芸品になりました。
熊野筆が、どこでなぜ生まれたのか、その歴史と、魅力、人気の理由を解説します。
広島県熊野町の伝統工芸品「熊野筆」の魅力がわかる図解。歴史、特徴、製法、人気の理由を紹介。
目次

熊野筆はどこで作られている?

熊野町の場所がわかる地図
熊野筆は、広島県安芸郡熊野町で作られています。
熊野町は、周囲を山に囲まれた小さな盆地です。
人口は約24,000人で、そのうち約2,500人が筆づくりに関わっています。
町内には、約90社ほどの筆メーカーがある、「筆の都」です。

熊野筆の特徴とは

画筆、書筆、化粧筆など、さまざまな種類がある

書筆、画筆、化粧筆のイラスト
熊野筆は、用途によってさまざまな種類があります。
書道に使う「書筆」や、絵を描く際に使用する「画筆」、化粧をする際に使う「化粧筆」などがあります。

国の伝統的工芸品

熊野筆は、1975年に経済産業大臣の指定を受けた工芸品「伝統的工芸品」に認定されました。

職人の手仕事

熊野筆は、筆づくりのほとんどの工程が、職人による手作業によって行われています。

世界中で評価

熊野筆は、世界中で高く評価されています。化粧筆は、世界中の著名なメイクアップアーティストも愛用しています。

熊野筆の歴史とは

周囲を山に囲まれた農地が少ない町

盆地と農業のイラスト
熊野町は周囲を山に囲まれた小さな盆地でした。
農地が少なく、農業だけでは生計を立てられない人も多くいたそうです。

出稼ぎで筆や墨が身近なものに

出稼ぎのイラスト
江戸時代末期、農業だけでは生計を立てられなかった熊野町の人々は、農業の閑散期に出稼ぎで、紀州熊野や大和吉野へ行きました。
紀州熊野では筆や墨を仕入れ、それを売りながら熊野町へ帰ってきました。
これにより、筆や墨といったものは熊野町の人たちにとって身近なものとなっていきました。

筆づくりの技術が町全体に広がる

町全体で筆づくりの技術が磨かれるイラスト
技術を身につけた人が熊野町でも筆づくりを始めました。
そのころ、主な産業がなかった熊野町は、筆づくりという産業が受け入れられました。
周囲を山で囲まれた熊野町は、なかなかほかの産業が入ってこなかったため、筆づくりの技術が町全体で磨かれていきました。

国内の筆の8割を生産する「筆の都」に

10人に1人が筆に関わる仕事についているイラスト
現在では、書筆、画筆、化粧筆、いずれも全国一の生産量を誇る産地となりました。
熊野町に住む10人に1人が筆に関わる仕事についているそうです。

熊野筆の人気の理由とは

10 種類以上の動物の毛を使っている

熟練の職人が複数の動物の毛を練り混ぜて作っているため、一本の筆に柔らかさとコシ、繊細さとまとまりがあります。

穂先を切らないので肌触りがいい

熊野筆は毛先を切らずに作っているので、なめらかで線を描くことができます。
化粧筆の場合は、肌触りがよく、均一な仕上がりになります。チクチクしないので、肌にもやさしいです。

まとめ

熊野筆は、広島県安芸郡熊野町で受け継がれる、世界が認めた伝統工芸品です。
書筆、画筆、化粧筆など幅広い種類があり、使うたびに職人の技を感じられます。
ぜひ、その手触りと描き心地を体験してみてください。
しゅんぎく
広島がもっと好きになるきっかけを、そっと置いています。
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